Yです。若い頃勤めていた会社の近くに商店街があり、その中程にランジェリーショップがありました。そこは2階にあり階段を登ると右側がランジェリーショプで左側がスナックになっていました。
通りを歩いている時にもそこに店があるのは知っていました。階段も黒い壁で、階段を上がったところのスナックの外側もランジェリーショップの外側も黒い壁になっていましたが、ランジェリーショップはドアに大きめの窓がついていて、中が少し見えていました。
なんとなく、高級感のある綺麗なランジェリーが売られているのがわかりました。時々その向かい側にあるスナックに行ってましたので、いつかこのランジェリーショップを覗いてみたいなあと思っていました。どうやら、このお店は夜8時くらいまでやっているようでし
た。スナックで飲んで出る頃には閉まっていましたので、それがわかりました。スナックは7時くらいに開きましたので、7時から8時の間には誰かと鉢合わせをしてしまう可能性があります。
そこで、意を決して仕事が終わってすぐにこの店に行ってみようと決めました。仕事を定時に終えて、すぐにそこに向かいました。時間はまだ6時前です。幸いにもそんなに人が歩いていません。店は階段を上がって2階に行くようになっていたので、その店に行くかどうかは目立ちません。
それでも、店の前に立つとドアを開けて入るのに勇気がいります。思い切ってドアを開けて中に入ると、「いらっしゃいませ」の声。幸いにも他に誰もお客らしき人はいません。店員
というかオーナーらしき女性が一人。年齢にすれば50歳ちょうどか少しそれより若いかくらいな感じ。黒っぽいワンピースでドレッシーな雰囲気です。店の内装も少し黒っぽい感じです。予想した通り、売っている商品は少し高級感があるものばかり。輸入品のようなものとワコールの物が中心でした。
「こんばんは、初めての方ですね。何をお探しですか?」と違和感を何も感じさせずにとても自然に接してくれる。こちらもだからと言ってそんなに堂々ともしていられず、少しおどおどした感じになっていたはずです。
勇気を振り絞って、「スリップを探しているのですが」と伝える。「スリップですね。贈答品ですか?サイズとかデザインとかご希望はどうなのでしょうか?」。当然な質問なのに、それへの反応が少し遅れるというかこれもまたおどおどとした対応になってしまっていました。「お客様、このお店は見ての通り、2階にありまして、そんなに頻繁にお客様が来られ
る店ではないんですよ。ですから、遠慮なさらずになんでもお伝えくださいね」と笑顔で返される。「ありがとうございます。そうですねえ」などと答え、それでも少しおどおどしていたら。「お客様、こういう事をお伺いして大変失礼があればご勘弁いただきたいのですが、もしかしてご自身で身につけられるのですか?」と聞かれる。「やばい、見抜かれていた」と思いながらも、むしろこう言われて気持ちが楽になりました。
「実は、そうなんです。なぜそう思われたんですか?」と聞くと。「こちらに来られる男性の方で、そういう方決して少なくないんですよ。最初に来られた感じでなんとなくそんな感じがしていました。私は、そういうの慣れていますので遠慮なくおっしゃってください。スリップですね。いくつかお見せしますね」と笑顔で返され、中からスリップを何枚か持って私の前に。そして、私の前に立ち、「ちょっとその場に立ってみてください。」と言いながら私の全身を上から下まで眺めている。そして、「多分お客様だと、丈は95cmか1mないとダメですね。私が95ですから。」それを聞いて、「この人もスリップを着るんだなあ。こういうお店の人だから当たり前かあ」などと思いを馳せる。
その後、ガラスのショーケースの上にスリップを数枚出してくれて私に説明を始めた。「どんな感じがお好きですか?、色のついた物?それとも白かしら?こんなのはどうでしょうか?お客様の雰囲気にあってますよ(こう言われて嬉しかったですが、でも男の私に雰囲気があってるってねえ)」。数枚出されて、みているとみんな欲しくなりましたが、残念ながら1枚1枚が決して安いものではなかったので、そんなわけにも行きません。
「やっぱり、お客様にはこれがいいと思いますがいかがでしょうか?」と言われて見せられたのは真っ白で丈が1m、レースはそれほど豪華な感じはないのですが、白い生地が眩しいほどで、何よりも手で触れてみて肌触りがとても素敵でした。「これいいですよ。私も同じようなのを持ってますけど。本当に着ていて気持ちがいいですよ。」などと。私は、だんだん気が大きくなって「スリップはいつも着ていらっしゃるのですか?」などと聞いてみる。すると「もちろん、こういう仕事ですし、ワンピースが多いので、ほぼいつも着てますよ。スリップをいつも着ていると、なんだか着ないと落ち着かない感じなんですよ。夏なんか冷房が効いてることが多いのでスリップは手放せないんですよ。」。そんな会話にしばらく付き合ってくれた。そうすると「お客様はどこで着られるんですか?ご自宅でお一人の時なんかですか?お洋服の下に普
段着たりされますか?」、「いやさすがにそれはやりませんが」と答えると「あら、そうなんですか?そういう方もおられますよ。お好きなら、うまく着られればいいのに。着心地がいいから毎日着たくなりますよ。」そういう会話もちょっと嬉しく感じました。
結局、その店員さんに勧められるままに白いスリップを購入しました。結構高かった記憶がありますが、でも品質もそれなりに良いものでした。その日は向かい側のスナックにもいかず、ルンルン気分で電車に乗って帰りました。当時私は会社の寮の一人部屋に住んでおりましたので、帰ってすぐに入浴を済ませ、部屋のド
アと窓にしっかり鍵をかけました。そして、そのスリップを取り出し、身につけいい気分に浸りながら過ごしました。寮ですから誰か来ることもありますので、早々に電気を消して布団の中に入りました。もちろん、そのスリップを身につけて寝ました。布団から両肩が出た時にスリップを吊るストラップだけで、少し寒い感じがありましたが、それもまた嬉しい気分に変わりました。そして、朝日で目覚めた時に、白いスリップに包まれた自分を感じてなんとも幸せな気分に浸りました。その日は休日でしたので、その上に服を着て一日過ごしました。まだ、Cと出会うずいぶん前の事でした。
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